縛り絵物語

縛り絵物語-3-
京子とS教授

     

わたしは京子、某女子大の学生です。専攻は美学、日本の縛り絵に興味があって美学を学んでるんですけれど、女の子がこの研究をするなんてはばかられるので、表向きは西欧近代美術です。わたしの主任はS教授。S教授もサブテーマで、緊縛美術を研究されている。そのことを知ってわたしは、S教授の研究室にお邪魔することになったのです。

「なぜ女が縛られて悦ぶのか、それを京子さんならわかるんだろうね」
S教授は男です。男には女の気持がわからないと、S教授はいいます。いいえ、女子学生の前で、こんな話題を持ち出すなんて、セクハラですよね。S教授は、きわどい選択をしたんだと思います。

「先生、それはね、女のわたしだって何故なのかわかんないデスよ・・・」
わたしは、S教授の質問に、そう答えるしかなかった。でも、そのような質問をされただけで、わたしポーッとしてしまって、目が眩みそうな感じを受けたのを覚えています。S教授に言い寄られて、わたしがお縄を受けることになったのは、お正月空けのことでした。

     

わたしはS教授が云うとおり、手を後ろに組みました。手首を縄で括ってから、S教授はわたしを裸同然の格好にし、お乳を挟むようにして胸へ縄を巻き、固定しました。

「おお、おお、いい格好じゃないかい、京子さん、どうだね、縛られ心地は・・・」
「ぁああ〜ん、先生、恥かしい、こんなのにしちゃ恥ずかしい・・・」
「ほう、ほう、恥ずかしいって、顔を赤らめて・・・いじゃないか、うふっ」
わたしは、鏡の前に立たされて、後ろから抱きかかえられました。S教授が縄で締められたお乳を触ってきたんです。タプタプのお乳がぎゅっと絞られて皮膚が張っているから、わたし、S教授の指がなぞっていくのを、ピリピリと感じる。お乳の先を抓まれたとき、わたしおもわづ声を出してしまった。

「先生、だめ、ぁあ〜ん、そんなにきつく抓んじゃ。ぁああっ、だめデスぅう・・・」
「敏感なんだね、感じてるんだろ、ほれ、鏡をみてごらん・・・」
S教授ったら、わたしの姿を鏡に映して、わたしにも見ろって云うんです。わたし正直いって、恥ずかしい、恥ずかしさでいっぱいでした。でも、ちょっと感じてたんだと思います。

     

わたしは後ろから抱かれたまま、パンティを脱がされ、手首を括った縄を、天井から吊るした滑車に通し、その残った縄で足首を括られてしまいました。わたし、右足だけ、床に着いて、吊られてしまったのです。S教授は、わたしをこんな格好にしておいて、ゆっくりとわたしを責めだすのです。
「京子さん、なかなかな眺めじゃないかね、初めてだね、縛られた感じってのは、いかがかな?」

鏡がわたしを映し出しているとはいえ、わたしは俯いてしまって見ることができない。前に倒れそうになって、手と足を括った縄が、ピーンと張る。右足をはずせば、わたし、吊り下げられた格好になる。
「ぁああ〜先生、こんなことしちゃ、だめ、おろしてよォ・・・」
「な〜に京子さん、ぼくたちの共同研究じゃないかね、そうだったろう!」
「でも、ああっ、苦しいよォ、痛いようォ、先生、だめ、見ちゃだめ・・・」

S教授は、わたしを後ろから見ているんです。そうしてお尻を撫ぜ出し、手の平でお股を被い、ぎゅっと握ってきたのです。わたし、もう無我夢中でからだを支えていたから、恥ずかしい気持ちとか、奥ゆかしい気持ちとか、味わいようがなかった。
「ふふっ、京子さん、ぼくたちの秘密だね、ここまで来れば、もう秘密だね・・・」
「ああ、先生・・・、秘密にしますから、おろしてくださ〜いぃ・・・!」
「だめ、京子!このまま、結合する!命令だ!」
突然、S教授は動物になってしまったように思います。高飛車に、わたしに命令だ!なんて荒々しくいいだすのでした。
「ひぃいい・・・・先生、ひぃいい、いけません・・・だめですぅうう・・・」
S教授は男です。教授といえども男です。密室で悶々と耐えながら教授にまで昇ったS教授、中年の危機っていうのが襲ってきたようでした。

     

S教授が一枚の挿画を取り出してきて、わたしに見せつける。わたしを片足吊りにしておいて、本番をやろうとする時のS教授の趣味です。女が手足を広げて括られ弓なりにされた図です。
「京子、お前もこんな格好にされたいんだろ、ええっ、いいだろこの図っ!」
わたしの目の前に近づけて、もう後ろから挿入が始まった。

「ぁああ〜先生、だめ、ぁああ〜こんなの見せて、ぁああ〜わたし、だめっ!」
「なに、興奮剤だ、よ〜く見て、京子の姿は、これよりいいぞ!」
S教授は変態です。大学の教授って密室育ちだから、そうなるのかも知れないけれど、男の欲望を剥きだしにして、わたしに恥ずかしい思いをさせるんです。でも、わたし、S教授にこのようにされて、かっこう悦んで感じていってしまう。

「京子、いいぞ、いいぞ、もっと締めろ、ぁあ〜もうだめだ、出すぞ〜!」
「ぁああ〜ん、先生、まだだめ、まだまだ、もっと、もっとよ〜!」
S教授の持っていた図版が、床に落ちてしまって、S教授の腰の動きが早くなってきたんです。わたしは、馬がたずなを引かれて走るスピードを上げていくように、S教授が握った縄をぐい〜っと引き上げられて、わたしとS教授の体の一点だけが結合されている。

「ぁああ〜だめ、だめよ〜ぁああ〜だめ〜〜ぁアアっ、ああ〜!」
「ぅううっ、い、いけ!いけ!いけぇええ〜〜!」
わたしの声が、泣き声のような叫びになって、S教授の唸る声も一段と高くなって、わたしたちは果てていきました。

     

S教授とわたしの関係は、それから卒業するまでの一年あまり続きました。どうなんでしょうか、教授と学生がからだをまぐわう関係になるということについて・・・。男女の恋愛には、年齢さなんてないといいます。わたしと教授の年齢差は親子なんです。
「京子をこうして抱いているとね、若返る、それも心がね・・・」
「先生、いつも女の子に囲まれてらっしゃるから、お若いんでしょ!」

わたしは、S教授を愛しているなんて思っていません。S教授は、わたしのスポンサーになってくれたから、その代償におからだを触らせてあげて、部分結合させてあげていたんです。S教授は、それでも良いといいました。昔は、女を囲う、なんていってたようですけれど、今様は、S教授の現実逃避のペットちゃんになってあげる・・・。
「先生とのこと、風紀委員会にばらしちゃおうかな〜」
学内では、セクハラとかアカハラとかいって、このまえも文学部の助教授が、お可哀想に免職になられた。そのときには、S教授もわたしをどこまで信じるか、とお思いになられた様子でした。文学部の助教授の場合、妊娠させてしまってバレチャッタんです。

「京子、ボクのことを告発するなんてしないよね・・・」
「大丈夫ですってば、先生、わたしを信じられないの・・・」
「でも、京子は、何か云うと、風紀委員会!ってゆうじゃないか・・・」
そんな会話をかわしながら、S先生、子供みたいにわたしを抱いて縛って喜ぶんです。

     


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短編小説-3-





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