彼といっしょに
 第一章の一
 1〜15 2007.2.18〜2007.4.10


-1-

彼が27歳の大学院生で、わたしは大学二年生の二十歳でした。憧れのお兄さまって感じで、わたし、彼と出合ったとき直感で、わたしの心にしみこんできたんです。彼は大学の先輩で、オーケストラ部の大先輩です。彼がバイオリンを、つたないわたしに教えてくれる先輩やったんです。うん、バイオリンをひく技術は、たぶんわたしのほうが上だったとおもうけど、心をこめる込め方が、わたしにはいまいちわからなくて、彼が心を教えてくれる先生的存在でした。

     

「音楽は心なんだよ、わかるだろ、可奈」
「うん、それはわかりますけど、どうしたらええのんかわからへん」
「からだの芯から、感じないとあかんのや、歓びも悲しみも、そうなんだよ」
「うんうん、歓びも悲しみも、なんやなぁ」
彼とかなり近い関係になって、わたしは、彼に歓びとか悲しみの気持ちを、教えてほしいと思うようになったのです。

夏休みが過ぎて、秋の定期演奏会が11月に迫っていて、パート練習を終えたとき、彼がわたしを食事に誘ってくれたのです。それまでグループでコンパしたり、お茶したりして、その中に彼がいたんですけど、二人で食事するのは初めてでした。四条大橋のそばにある菊水というレストランで、わたしたちはランチを食べ、そうして祇園の方へと連れ立って歩いていったのです。秋が始まりだした夕暮れです。ノースリーブにちょっとミニなスカート姿のわたし。彼はジーンズに半袖シャツ。祇園さんの石段をあがり、そこから円山公園にいってベンチにすわりました。

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祇園さんの円山公園はけっこう明るいんです。水銀灯がいっぱいあって、まるでナイターみたいな、感じです。でもね、陰のところもあるんです。彼ったら、そんな陰になるとこのベンチに座ったんです。わたし、男の人とこんなところへ来たの、初めてです。ううん、それまで特定の彼っていやへんかったし、勉強ばっかりしてたし、男の人とラブするなんて、想うことはあったけど、現実にはなかった。片思い、うん、何回もありましたし、高校のときお付き合いしたこともあったけど、そんなぁ深い関係にはならへんかったです。

     

彼ったら、わたしの肩を抱いてきたんです。男の匂い、まだ暑い日々やったし、肩を抱いてもろて、からだをくっつけたとき、匂いがしたんです。うん、いい匂いやと思いました。彼は何も言わないで、突然わたしにキッスしてきました。ウブやと思われると思うけど、ほんと、初めてのキッスやった。二十歳になるまで、男の人とラブラブすることもなかったわたし。キッスされたとき、もうドキドキしてて、ああ、唇って柔らかい、舌ってぬめぬめやけどザラザラした感じ、そんな記憶です。

タンクトップとミニスカートやったわたし、彼がわたしの太ももに手を置いて、ちょっと撫ぜさするようにして、舌を絡めてきて、背中をさすられる感じが伝わってきて、わたし、戸惑っていました。唇が離れて、彼が呟くようにいいました。
「可奈ちゃん、ちょっと魅力やと思ってるんやけど・・・」
わたし、ぼ〜っとなってたし、彼に返すことばもないまま、彼にしがみついてしもたんです。うん、円山公園のベンチでは、それだけでした。

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彼と初めて結ばれたのは、二人でデートして、祇園さんの奥の円山公園でキッスしてもらってから、三回目のときでした。週に一回の練習日のあと、わたしは彼とデートするようになったんです。黒いバイオリンケースを持った二人。河原町でお茶したり、お食事したりして、二回目のときは、手を握り合っただけでした。

三回目のデートとき、祇園さんから東大路へ抜ける道のちょっと入ったとこにあるホテルへ、連れていかれたんです。わたし、初めてのことで、戸惑ったし、それにやっぱり怖かったです。処女やったし、キッスしただけの関係で、三回目のデート。わたし、そういえば期待もしてたし、怖さもあった。

最初のときって、痛いんです。処女を破られるって、痛みを伴う。聞いていたけど、初体験。痛くて、すぐに終えてもらいました。彼も、心得ていたようでした。それから、週に一回、オーケストラ部の合同練習が終わると、二人で河原町へでかけて、お茶して、お食事して、それで、ホテルへいく。そんな暗黙の了解が、できてきていました。

     

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祇園さんの近くのラブホテルへ連れていってもらって、彼とセックスするんですけど、三回目ぐらいまでは、いい気持ちになるより、おちんぽが挿入されても、痛い感じがして、ゆうほどには、ええ気持ちにならへんかったです。そいでも、好きな彼と一緒にいることが嬉しくて、よかったんですけど、ラブホテルって、恥ずかしい場所です。入り口の前で、なんかしら悪いことしてるみたいで、いやな感じです。

三回目のとき、彼のおちんぽを口のなかに入れてあげて、フェラをしてあげることになりました。もうわたしも彼も裸になっていました。ふかふかのベッドで、わたしが仰向いて寝転び、それから彼が座っていて、わたし、彼の太ももに脇腹をおいて、左手で下半分ほど握ってあげて、上の半分ほどを、口の中へ入れて、顔をあげたりさげたり、していきました。

フェラのしかたを、彼が教えてくれて、教えられたとおりにやっていくんです。舌の先っちょで、亀頭の根元のくびれたところをちょろちょろと舐めるとか、亀頭を唇にはさんでそのまま絞っておちんぽを口の中へ挿しこむとか、根元から亀頭の先っちょまで、唇ではさんでおねぶりしていくとか、いろいろお口と舌の使い方を教えてもらいながら、やってあげて、わたしは、彼にお股をまさぐられたりしていきました。

     

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彼とセックスの関係を持つようになって、わたしも慣れてきて、そうですね、あれは定期演奏会の直前やったから、11月の中頃です。彼から、男の人が喜ぶやり方を教えられ、フェラも上手になったし、わたしも快感を感じるようになってきていました。彼は、抱き合って入れるだけじゃつまらない、と言うのです。わたし、どうしてあげたらええのかわからない。バイオリンの練習やと、メソッドがあって、それに従って練習しますけど、男の人にしてあげることって、わたしわからないんです。

彼は、わたしが自慰するのんを見たいといいました。自分も見せるから、可奈の自慰するのを見たいってゆうんです。わたし、そんなん、恥ずかしいです。入れてもろてるとこかて、見えへんし、目を瞑っていい気持ちになるだけやったから、ちょっと恥ずかしいです。でも、わたし、オナしてるところを見たいってゆうから、見せてあげることになります。それも、彼がやってほしいことを、わたしに言うから、そのとおりにしろ、というのです。

「可奈、おっぱいとお股と、いっしょに触れ」
わたしは、ベッドの縁に座って、お股を開かされて、閉じたらあかんって言われて、そいで、右手でおっぱいを、左手でお股を、触っていかんとあかんようになって、わたし、彼が見ていると思うだけで、もう恥ずかしくってたまらなかったんです。
<ああん、見たらあかん、ああん、恥ずかしいやん、見たら・・・あかん・・・>
わたしは、声に出してゆわへんかったけど、心のなかで見たらあかん、って言っていたんです。

     

-6-

彼に見られてオナニーするって、恥ずかしかったけど、ベッドの縁に座って、おっぱいを触りながら、お股を開いて、触っていったんです。でも、ね、見られてるって、ぼ〜っとしてくるんやけど、なかなかいい気持ちになれへんので、わたしは、彼にやってほしい、ってお願いしてしまったのです。
「あかん、抱いて、してほしい・・・」
彼も、わたしを見ながら、うずうずしてたみたいで、わかったという風に、わたしをそのままベッドに、仰向けにたおして、うえからかぶさってきて、わたし、お尻をベッドの縁に置いてたから、彼がわたしの広げた足の間に入ってきて、そのままずぼっと挿入してくれたんです。

もうオナニーで大分濡れてたんで、なんなく挿入できて、わたし、ずきずきって感じだして、そのまま、ベッドの上にあげられて、ずっぽんずっぽん、なんどか彼が挿入しては引き抜いて、それから、わたしを馬乗りにさせて、あそこを結合させたまま、おっぱいを揉んでもらったり、彼にかぶさったわたしのお尻に手を置いて、ぐいぐいと刺激させてくれたり、うん、そのときはまだお道具なんて使うこともなく、わたしたち、からだとからだを重ね合わせて、お股を結合させて、イカセテくれたんです。

でも、ね、彼って何回も出すことが出来ないのに、わたしを何回もイカセテしまいたかったんやと思います。最初に一回、彼が射精してしまって、しばらく休んで、またやりだすんですけど、途中で抜いてしまって、バイブでせめてくるようになってきて、わたしをイカセテしまうんです。バイブでスイッチを入れたまま続けられたら、数分でイってしまいます。最初のころは、彼がバイブを手にもって、わたしの手を添えさせて、イカセテしまう。つまり、オナニーさせてしまうんですけど、何回かしてるうちに、彼ったらバイブの根元に紐を巻きつけて、わたしに装着したまま、紐を腰で括ってしまうようにして、手を離して、スイッチだけ手に持って、わたしをイカセだすのでした。

     

-7-

うん、わたし、バイブで逝かされるときって、バイオリンの音色みたいなお声を出すんだって、彼がいいます。甘くて切なくて哀愁おびた音色。バイブの根元を紐で括って、四本垂らして、二本づつ10センチほどのとこで結び目つくって、バイブを挿入しておいて、前と後ろへ二本づつの紐を引上げて、骨盤のうえでぎゅっと絞って、右腰と左腰で括ってしまわれて、もうバイブが抜けんようになってしもて、きっちりおさまったまま、彼ったらスイッチを入れだすんです。

バイブレーターって、ぐにゅぐにゅって動くじゃないですか。それといっしょに振動するじゃないですか。わたし、ベッドに寝転んだままでスイッチを入れられたときは、太ももを閉じたり開けたりして、小刻みに揺すらせてしまって、からだの芯をくすぐってくる刺激で、ううううっ、って目を瞑って、歯をくいしばる感じで、受け入れていって、すぐに快感の波にのみこまれていってしまう。彼は、そんなわたしをじっと見ているんです。わたし、彼に抱いてほしいと思ってるのに、彼ったらなかなか抱いてくれないんです。

たぶん、ああああ〜って、逝きそうになる声をあげてるんやと思います。ズキズキって感じて、もう逝きそうになる手前で、彼がバイブレーターのスイッチを切ってくれる。わたし、いい気持ちのなかで、ホッと一息入れる感じで、軽い深呼吸をしてしまう。うん、バイブがわたしのお汁で、じゅるじゅるになってるって彼がいいます。わたし、立とうと思っても立てないくらい、足ががたがたに痺れている感じです。うん、お部屋には、CDでバイオリンの曲が流れているんです。

     

-8-

彼もわたしもバイオリンをやってるし、彼はバイオリンを引くのを、心の芯から感じないとあかんのや、といってわたしを、心の芯で感じさせるんやゆうて、バイブでわたしを感じさせてくれている。わたし、二十歳でまだおぼこい感じで、からだの芯で感じるなんて、わからない。女の子の悦びが、おからだの部分を刺激されることで、感じていくんやって、わたし聞いてて、知っていたんですけど、それがどんな悦びなんかは、まだわかりませんでした。

バイブのスイッチが止められて、ちょっと小休止させられて、心臓の高鳴りがしずまってきたとき、彼がまたスイッチを入れます。ようやく座った彼がわたしを抱いてくれて、あぐらを組んだ足にわたしを乗せてくれて、ぶっとくて硬くなったのを握らされて、くねっくねっ、びりんびりんとバイブが動き出します。そのまえに、だいぶん昂ぶっていたわたしです。スイッチを入れられるなり、さっきの高さに戻されて、それから一段あげさせられていきます。

わたしは、バイブの刺激で、からだの中がぐじゅぐじゅになって、握らされた彼をお口のなかへ、ぐっと呑みこんでしまって、下腹のうねる振動に、ああ、ずっきんずっきん、じゅるんじゅるん、からだがふるえて、爪先にぐっと力をこめてしまって、彼のぶっとい硬いのをじゅるじゅるに濡らしてしまうんです。
「ほれほれ、可奈、もっと感じろ、もっともっと!」
「ううううっ、ううわぁああ、ああ〜」
わたしは頬ばっていた彼をお口から抜いてしまって、顔をしかめてしまって、声をだしてしまって、彼は急いでバイブのスイッチをオフにするのです。

     

-9-

バイブでなんどか逝きそうになって、でも逝く寸前で止められて、もうわたし、ぐじゅぐじゅになってしまって、彼がバイブを外してくれて、彼の大きくなったナマを入れてくれるようになるんです。
「ああ、入れてほしい・・・」
「うん、入れてやるよ!」
紐パンティバイブでされたあとの体位は、わたし寝たまま、彼が上にのってきて、してもらえるんです。

だってね、もうわたし、ふらふらになってて、朦朧としてるから、からだがゆううこと聞いてくれなくて、彼のうえに跨ってするなんて、できないほどめろめろになっているんですもの。ただただ、彼の一突き、二突きで、わたし、オーガズムを迎えてしまう。
「可奈、いけ、いけ!」
「はぁあ、あああ、ああ〜〜!」
じんじん感じてしもて、もうからだが壊れて崩れてしまう感じ。からだのなかをぐりぐり擦られて、膨張して破裂してしまう感じ。その快感の感じなんて、そっくり、ことばで伝えることなんてできないんですけど、ね。

わたし、オーガズムを迎えるときって、大きな声をだしてしまうみたいです。からだ揺すって、大きな声をだして、なきさけんでしまうみたい。そんなん、わたし自身は、わからへんです。ふっと気がつくと、バイオリンの音が、聞こえてくるだけで、きっとオーガズムを迎える瞬間から、しばらくは意識がないんやと思います。うん、このとき彼は、射精しないまま、わたしだけが逝ってしまうんです。

     

-10-

<街の中で>

バイオリンの黒いケースをもって、三条河原町から三条通りを西にいくと楽器屋さんがあるんですけど、わたしたちその楽器屋さんで、楽譜を見たりします。彼は楽譜を見ながらですけど、持参したバイオリンで弾くんです。ピアノ伴奏は、わたしがしてあげます。お店の人とも顔なじみで、即興の演奏会みたいな感じです。その日は、わたしローターを挿入されたまま、その楽器屋さんに連れていかれたんです。

うん、そのころって、わたし、彼にだいぶん仕込まれていて、彼のお部屋でセックスするだけでは、彼が満足しなくなっていて、ためしにローター挿入されて街へ出てきたんです。へんな感じでした。ローターを入れて、パンティ穿いて、抜けないようにされていて、わたしうずうずになってしまってる。お顔がぽ〜っとなってるんが、わたしわかるんです。彼以外に、誰にも知られるはずもないのに、わたし、恥ずかしくって顔があげられないんです。

わたし、ピアノの前に座っても、ローターのことが気になってしまって、ピアノって鍵盤だけじゃなくて、ペダルを足で踏むじゃないですか。簡単なバイオリン曲ですけど、彼が楽譜を見ながら弾いて、わたしがピアノを弾いて、お店にいたお客さんが、わたしたちを見ます。彼は知らんふりしてるけど、わたし、ピアノを弾きながら、ローターのことが気になって、いいえ、ペダルを踏むたびにじゅるじゅるって動いている感じがして、いまにも泣いてしまいたい感じで、からだのなかが火照ってきてるのでした。

     

-11-

バイオリン伴奏のピアノの音は、乱れていたと思います。三曲目になると、わたし、もう自分が何をしているのかわからない感じで、目の前が真っ白って感じで、うずうず変な気持ちで、その場に倒れこみたいくらいでした。ローターが動いているわけではないのに、わたしをじゅるじゅるにさせているのです。彼のほかは誰も知らないことなのに、わたし、恥ずかしくって誰の顔も見ることができませんでした。彼は、わたしの火照った顔を、意地悪そうに見ているだけです。わたしは彼がうらめしかった。

楽器屋さんを出て、三条通りから新京極の通りへと、彼と並んで歩きます。わたしのお股にはローターが入っていて、足を動かすたびに、ああ、わたし、ぐじゅぐじゅ変な気持ちになってしまう。修学旅行の中学生とか高校生のグループが、狭いとおりのお店に群がっています。彼は、わたしが歩けなくって、京都土産のお店の前で立ち止まると、肩を抱いてくれて、歩かせます。わたしは、ふうふうな気持ちになってしまって、彼によしかかりながら、ようやく四条通りへと出たのでした。わたしは、お股に入れられたローターが、むずむずと気になってしかたないんです。

ドトールに入り、わたしは紅茶を、彼はコーヒーを注文します。わたしと彼は、小さなテーブルをはさんで向き合って座ります。わたしは、他のお客さんから顔が見えないように、ソファーではなくて、椅子の方に座りました。
「まだ入ってるんやろ、どんな感じや、可奈」
彼は、うつむいたわたしの顔をじっと見て、訊ねてくるんです。わたしは、恥ずかしくってじゅくじゅく、何もいえません。座ってじっとしていると、入ってるって異物感はないんですけど、入ってるって思うだけで、ボーっとなって、目の前がクラクラしてる感じなんです。

     

-12-

ローターのリモコンは彼のブレザーのポケットに入っています。ブレザーの内ポケットへ彼は手を入れ、スイッチを入れてきたんです。
<ああん、やめて、ああ、こんなとこで・・・>
わたしは、びっくりしたとゆうより、まわりの人に変に見られると、思ったんです。ああ、からだの中が激しい疼きにさらされてしまいます。わたしは、テーブルに顔を伏せるようにして、ぐっと我慢をしています。隣の席にいる人に、わたし、顔を見られている感じがして、とっても恥ずかしい気持ちです。
「どうしたの、感じるんか、可奈」
彼は、顔を伏せたテーブルに顔を近づけ、わたしの耳元で囁くようにいいます。

「ううっ、ううん」
わたしは、びりびり、からだの芯が煮えかえるような気分で、まともに答えられないんです。
<ああ、なんでこんなとこでスイッチ入れるん・・・>
わたし、入れたローターが振動して、声を出したいのに、出したらあかん、あかんと心で思って、ぐっとこらえているんです。彼は、わたしが苦しそうに見えたのか、スイッチを切ってくれました。ソファーに立てかけた黒いバイオリンケースが、じっとわたしを見ている気がして、居ても立ってもいられない恥ずかしさに見舞われてしまっているわたし。

ちょっと落ち着いたと思ったら、またスイッチが入れられて、わたしの中で、びびびびって振動しだして、わたし、太ももをぴったしくっつけたまま、じゅるじゅる感をじっと受け入れているんです。まわりの人に知られたらどうしよう。わたしは、じぶんのからだの中のぐじゅぐじゅと、まわりの人への気持ちが入り混じって、とっても変な気分です。きっとわたし、お顔を真っ赤にしていたんやと思います。もう我慢ができなくなって、わたし、おしっこが洩れそうになって、トイレへ駆け込んでいったのでした。

     

-13-

トイレへはいって、パンティをおろして、そうしてぐじゅぐじゅになったローターを、抜き出してしまいました。わたし、恥ずかしい気持ちとやるせない気持ちとで泣きたいくらいでした。パンティの股布のところが、ぐっちょり濡れてしまって、ぬるぬるの液がついています。わたし、そのときは、ローターを入れて二時間ほど経っていたんです。ティッシュでグジュグジュを拭いとって、そいでローターを挿入してしまったんです。だって、外してしまうと、彼に叱られそうに思ったし、わたし自身、このまま続けて、どんなことになるのか、ちょっと興味もあったんです。

ドトールを出て、それから四条通りを東のほうへと歩いていきます。もう夜になりかけた繁華街です。四条河原町の阪急の前は、わたしと同じ年頃の女の子や男の子でいっぱいです。彼を待っている女の子もいます。わたしは彼といっしょにいます。ああ、それにしても、歩くたびにローターが気になって、すれ違う人と顔をあわせないようにして、彼に寄り添って歩いていくのでした。
「感じてるんやろ、可奈」
彼は雑踏の街を歩きながら、意地悪に、耳元で囁くように言ってきます。わたしは、彼のことばで、恥ずかしさが倍増してしまう。

四条通りを突き当たったところが祇園さん、八坂神社です。わたしは、彼といっしょに石段をのぼり、境内へと入っていきました。ローターを入れたまま、バイオリンケースを持ったまま、境内をぬけて円山公園へといきます。公園の真ん中に大きな枝垂れ桜があって、そのまわりは石が積んであって、腰掛けることができるんです。わたしは石の上に座らされ、彼はわたしと向き合い、立ったままでした。そうして彼は、ローターのスイッチを入れるとゆうのです。
「ああん、こんなとこでするん、ああん、人が見てる・・・」
わたし、彼と抱き合っているわけではないので、人に見られても恥ずかしくないはずなのに、水銀灯でかなり明るいまわりが気になってしまう。

     

-14-

わたしが枝垂桜を囲ってる石に腰かけたまま、彼が三歩後ろへさがりました。そうして、わたしの悶える反応を見てやるんだとゆうんです。閉じた膝がスカートからはみ出て、わたしぴったしくっつけているけど、お股の奥にローターが入っているんが気になって、わたしはうつむいてしまってる。
「顔をあげろよ、可奈、オレのほうを見ろよ」
わたし、彼が声をかけてきて、顔をもちあげ、彼を見ます。夜になって人気がなくなったとはいえ、恋人たちが愛を確かめ合う公園です。街の明かりが空を白く、明るくしているのが見えます。彼は顔をあげたとたんに、ローターのスイッチを入れてきたんです。

<ううっ、ああん、うごいてるぅ、動いてるぅうう・・・>
わたし、声を出したらあかんと思って、ぐっとこらえて、心のなかで言っています。
<ああ、だめ、ああん、うごいてるぅ・・・>
「可奈、どうした、どんな感じなんや」
彼ったら、意地悪にもわたしの顔をじっと見つめて、聞いてきます。わたしは、びりびりとお腹のなかが痺れる感触に、なんてゆうたらいいのか、言葉に詰まってしまいます。じゅるじゅる、びびびび、ああ、振動する音は聞こえないけど、蠢いているんです。
「ああん、うごいてるぅ、びりびりしびれるぅ・・・」
わたしはじゅるじゅるになってしもた感じで、喘ぐ声を洩らすように、小さい声でいいました。

ローターがわたしのなかで蠢いて、じゅるじゅるズキズキ感に、わたしは耐えられなくなってきて、彼にいいます。
「ああん、とめて、とめてぇ・・・」
わたし、彼の顔がぼんやりとしかわからない。ぐぐっとせりあがってくる震えに、わたし、こらえきれなくて、小さい声にして彼に止めてほしいとお願いしたんです。もう、わたし、膝をぴったしくっつけている力がなくなっているんです。彼がようやくスイッチを止めてくれて、オーガズムまでいくのは止まりました。わたしは、ローターを止めてもらって、はぁあ、はぁあと深呼吸をしてしまいます。
「あっちいこ、ここ明るすぎる、あっちでして・・・」
オーガズムにまで昇りたい、昇らせてほしい、わたしはそればっか思っていて、暗いところでしてほしいと思って、彼におねがいしたんです。それで、わたしたち、バイオリンケースを持ち上げ、公園の奥の方へと移っていったのです。

     

-15-

円山公園の山ぎわの方へ行って、大きな木の下にきました。人があまり来ない薄暗いところでした。
「可奈、ここやったら人こやへんし、暗いし、安心やろ!」
わたしは、グジュグジュになっているお股の中を、彼にさわってもらえるのです。わたしは、大きな木の幹にもたれかかります。そうして彼が、わたしの前に立ち、スカートの裾から手を挿しこんできて、太ももを開くようにいいます。わたしは、足を少し開いていきます。そうしたら彼は、パンティの股布の横から、指を入れてきて、グジュグジュになった唇を割ってしまいます。
「ああん、そぉっとしてね、そぉっとよ・・・」
ローターは止められたままなので、入っている感じはしなかったんですけど、指でまさぐられだすと、急に挿入されている感じがからだに伝わって、わたしのうずうずが高まってしまうのでした。

「濡れてる、可奈、ぐじょぐじょや、じゅるじゅるやぜ!」
「ああん、そんなん、ぬれてるぅ?」
「ああ、べとべとやぜ!」
わたしは、もう気がのぼっていて、ポーっとなってしまっています。濡れそぼったなかに指を入れられて、彼のことばに、わたし、そのまま倒れそうになってしまう。彼の人差し指と中指がぐぐっと入れられて、ローターが奥のほうへと押し込まれてしまう。
「ああん、きつしたらあかん、ああん・・・」
「ぬるぬる、可奈、ようがまんしたんや」
彼はわたしを抱かないで、幹にもたれかけたわたしに、パンティの股布をのけるようにして、指だけ二本、挿しこんで動かしてしまうのでした。

「可奈、イってもいいんやぜ、ひとりでイってしまえよ!」
「ああ、ああ、あかん、ああん、あかん!」
彼がローターのスイッチを入れてしまう。彼の指の先で、ローターが振動しだします。彼の指と、ローターの振動で、わたしはからだが、ズキズキじゅるじゅる、壊れてしまいそうな感じに見舞われています。
「イってしまえよ、可奈、イってもええから、なっ!」
「ああ、いい、ああん、あかん、あかん、イってしまうぅ・・・」
ずんずんわたしの快感が高まってきて、もう我慢できなくなってきて、わたしは立ったままからだを開き、ぶるぶるふるえだして、オーガズムへと昇っていってしまったんです。

     






























































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































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