淫らの館

かおり


淫らの館(1)-2-
 9~16 2018.1.3~2018.1.28

 

-9-
八畳の部屋四つ分がアトリエの広さです。その大きな窓に近い処に置いた白い籐で編んだ肘掛椅子に、裸婦モデルを承諾した美大三年生三年、21才の向井美紀が座っています。座っているというより、開脚で、Mの格好にされているのです。透けたショーツを穿いただけ、浴衣の赤い兵児帯で膝ごとタスキ掛けされてしまって、手が後ろで括られているのです。
「ああん、先生、これも、モデルのポーズですかぁ」
「そうだよ、そういうことにしよう、ポーズのひとつだね」
二泊三日の約束で、ここ嵯峨大覚寺の裏にある大きな屋敷の庭に設えられた洋館のアトリエです。お尻を突き出す格好で、太ももをひろげられ、膝を脇腹の横に引き上げられている美紀。恥ずかしい格好で、絵描きで美大の准教授大江康介の目線が気になります。
「おおっ、すばらしい、美紀クンの、うううん、見ちゃったけど、いいよね」
股布を横にずらされてしまった美紀。股間の部分が露わになってしまったのです。恥ずかしさに顔を横にする美紀。胸キュン、からだのなかがゾクゾクしてくるアラフォー独身の大江康介。
「ああん、こんなの、だめよ、先生、あかんわ、こんなの、約束してない」
「なにいってるの、裸婦モデルだろ、まだ全部ぬいでなんていないんだから」
明るい部屋です。大きな窓の外は竹やぶで、明かりがたっぷり入りこんでくるアトリエです。康介が手にしているのは裁ちバサミです。やおら美紀が穿いたショーツの股布をもちあげ、その裁ちバサミで、股布を切ってしまったです。美紀の股間が、正真正銘、ぱっくりと露出してしまったのです。透けたショーツが陰毛のうえ、お尻の穴までナマに見えてしまったのです。
「ああう、ああう、あかん、先生、こんなポーズ、いやですよぉ」
手首を括っておかれた背中が、椅子の座部に着くところまで、お尻を前へすらされてしまった美紀が、羞恥の色をにじませた顔で、准教授の康介に向けてきます。
「ふふふふふ、写真に撮っておこうね、スケッチのかわりだよ」
康介が手にしたのはスマホではなくて、高級一眼レフカメラです。美紀は身動きできなく開脚Mすがたです。ほぼ仰向いた格好で、籐で編まれた白い肘掛椅子のうえです。
「ああん、先生、恥ずかしいです、こんなの、恥ずかしい」
「写生するより、写真で撮って、しまうほうが、いいんだよ」
「ああん、ひとに見せないでね、内緒よ、先生、約束してね」
「うん、うん、大丈夫だよ、絵の参考にするだけだから」
康介は、美紀を全裸同然、股布を切ってしまって性器が丸出し、破られた透け透けショーツだけの美紀を、ゾクゾクしながら眺めてしまいます。肩までの髪の毛が乱れても、可愛い顔立ち、柔らかそうで白い肌、ぷっくら盛りあがるおっぱい、そのあめ色した乳首、くびれる腰、真ん中の臍、その下には黒い毛、陰毛、その下部にはまだ閉じ合わさったままの陰唇、会陰、お尻の穴が見えているのです。赤い兵児帯で膝ごとタスキ掛けされた開脚Mの女体なのです。

-10-
カシャ、カシャ、カメラのシャッターを切る乾いた音が、アトリエに響きます。BGMはピアノソナタが小さな音で流れているのですが、シャッター音はその柔らかい静寂を破るかのようです。
「ああっ、はぁあ、ああっ、あっ、あっ」
カシャ、カシャ、シャッター音が起きるたびに、美紀がかすかに声を洩らすのがわかります。美大三年生の美紀が、体験しているのは絵のモデル。それも裸婦モデル。裸婦モデルとはいっても、いま、兵児帯で開脚Mすがたに括られ手首を背中で括られた格好です。椅子の座部に仰向いて、肩から頭を背凭れに置く格好で、太ももひろげたお尻を前に突き出しているのです。
「いいねぇ、いいポーズだ、美紀クン、いいよ、とっても」
薄い透けたショーツを穿いているけれど、股の処の布をハサミで切られて、股間が丸出しになっている美紀です。シャッター音が、美紀のこころに、しゃん、しゃん、しゃんと響いてきて、見られてる、写真を撮られてる、その羞恥心に自分をコントロールできなくなって、ふううっと喜悦感のところへ導かれだしたのです。
「あん、あん、いやぁあ、ああん、いやぁあ、ああん」
甘ったるい美大生の声に、カメラをもった大江康介准教授のこころが、淫らに揺れています。
「うううん、いいねぇ、美紀クン、お悶えの声だよね、いいねぇ」
太ももがひろがり、膝が脇腹の横に引き上げられている美紀。股の真ん中が丸出しになってしまって、性器が丸見えです。アラフォー独身の画家であり美大の准教授大江康介には、教え子向井美紀のあられもない姿を鑑賞することになって、心が動揺していて、声もふるえてしまいます。
「あん、ああん、先生、そんな目で、見ちゃ、いや、恥ぃですぅ」
美紀は肘掛椅子の背凭れに置いている頭を横にして、顔を右にそむけて、康介の目線から逃れます。康介が、一眼レフのカメラを床に置いて、肘掛椅子のまえに、膝まづきます。
「あっ、ああっ、先生、あっ、ああっ、だめ、あかん、いやぁあ、ああん」
美しくも若い女の性器まわりを見てしまって沸いてくる、その欲情に、我慢できなくなった康介が、もう画家とか准教授とかの肩書に関係なく、美紀のからだを弄りだしてしまうのです。もう行き着くところまで行くしかない美大の准教授です。
「ああん、だめ、だめです、あっ、ああん」
「ふうううう、すうううう、ふうううう」
言葉にはならなくて、ふううう、すううう、息する音だけを洩らす康介が、美紀の股と太ももの間へ、左手の平を置くのです。まだひろがっていない陰唇の、その横に、人差し指が当たるように、置いたのです。そうして右手は、美紀の乳房へと伸ばされ、左の乳房が、康介の手の平に包まれてしまったのです。

-11-
籐で編まれた肘掛椅子に裸体を仰向かされているM姿の美紀です。赤い兵児帯を紐状にされ、モデルのポーズだと言われて、膝ごとタスキ掛けされてしまった美術大学で日本画を学ぶ美紀。准教授大江康介の大きなアトリエの一角です。
「ああん、先生、ああん、いや、いや、やめてください」
仰向いた裸体の乳房を、康介の手に包まれてしまった美紀が、退けることができないから恨めしそうな声で、嫌嫌をします。穿いていたショーツは、股布が切られていて、性器が丸出しになっている美紀です。椅子の前に立っていて、うつむいているアラフォー独身の康介に、見られている恥ずかしさに見舞われている21才の美紀。
「いいね、いいんだよね、美紀クン、もう、観念しなさい、いいんだよね」
「ああん、先生、ああん、だめです、ああん、わたし、みけいけん、なの、ああん」
教え子が告白する未経験だという言葉に、准教授の心が乱れます。処女、美紀のからだは、男を経験していないからだなのです。美紀のぷっくら膨らんだ乳房を弄る初めての男が、この康介なのです。身を締めている美紀。手を背中にまわして括られた美紀。膝ごとタスキ掛けにされM姿になって仰向く美紀。股がひろげられている美紀。
「そうなんだ、はじめてなんだ、それは知らなかった、てっきり経験豊富だとおもっていたよ」
「ああん、先生、だから、わたし、ああん、こわいです、先生」
処女を失うときが女には訪れますが、美紀のそれは、教えを乞うている准教授の手によって、それも、拘束されての喪失になりかねない寸前です。
「そうなんだ、こんなこと、するの、初めてなんだね」
「ああん、先生、こんなこと、したことないよ、こんなことぉ」
乳房をまさぐられている美貌の白い肌の美紀。康介の手は緩められずに、ゆっくり、乳房から腹部へおろされ、腰をまさぐり、陰毛を撫ぜあげます。美紀は、顔を右にそむけて、声を洩らさずにこらえています。全面的に拒否する気持ちは美紀にはなくて、頭の中真っ白、羞恥心の真っただ中なのです。
「そうなんだね、いいんだよね、ぼくと、結ばれて、いいんだよね」
「ううっ、うううん、ああ、ああ、ああっ」
美紀は、横に向けた顔を、小さくですが頷かせ、呻くような声を洩らしだしたのです。弄られていく下半身からの刺激で、からだが喜悦にふるえだしてきたのです。オナニーしか経験していない21才、美大三年生の美紀です。康介が上向いた股間の真ん中を触りだして、陰唇をひろげだされて、美紀、初めて見る他人に、足を閉じたい気持ちに見舞われてしまいます。
「ああっ、ああん、先生、いたい、いたい、いたいです」
指で陰唇をひろげられ、膣前庭をひろげられ、指で撫ぜられてきて、膣口を弄られだした美紀は、かすかにハスキーな声を洩らして、痛みを訴えてくるのです。康介は、美紀を拘束している兵児帯を解いてやり、籐で編んだ肘掛椅子から降ろして、壁際のシングルベッドへと導いたのです。

-12-
<処女から女になる美紀>
括られていた兵児帯を解いてもらって、肘掛椅子から降ろされ、立たされる美紀。股布を切られてしまった透けたショーツだけを身につけている美紀です。画家の康介が、いたわりながら、美紀をベッドへ促します。ほぼ全裸の美紀。康介はラフなシャツとズボンを身につけていて、裸ではありません。
「先生、わたし、先生と、わたし、結ばれてしまう、先生」
美紀は、すでに21才、もう前々から処女であること、男子と関係したことがないことを、後ろめたいような、このままでいいような、複雑な気持ちが交差する日々でした。
「ううん、美紀クン、いいんだね、ぼくで、いいんだね」
その、関係する最初の男子が、大学で絵を教えてもらっている准教授さん。美紀に悔やむ気持ちはなく、受け入れる気持ちに傾いて、モデルで裸になったまま、手で胸を覆って、アトリエの隅のベッドへと歩むのです。
「うん、わたし、ああん、わたし、いいのかしら、先生、こわい」
「だいじょうぶ、大丈夫だよ、美紀クン、心配しないで」
康介はこれまでに、何度こうして女子を連れ込んできて、関係をしてきたことか、表にはならないし、表沙汰になっても合意のうえだし、双方が独身だから、何ら問題ではないと、康介は思っています。いけない、あぶない、大学の准教授です。
「ああん、先生、あん、あん、ああん」
ベッドはシングルサイズで、柵もないシモンの木製ベッド、シーツが敷かれ、無垢な色の毛布が折りたたまれています。アトリエで、ベッドの様子が見えるというのは、美紀にそれを見せておいて、抵抗感をなくす目的も、日本画家美大の准教授、アラフォー独身男子の大江康介のたくらみでもあります。
仰向いて寝そべった美紀の横に、ブリーフだけの姿になった康介が寝そべります。抱かれる美紀。柔らかい、白い、北国で育ったという美紀は、餅肌です。康介は、その美紀の肌を感じながら、寝そべったまま抱き寄せ、キッスしてやります。
「ふううっ、うう、うう、ううっ」
もう気を失ったかのように、でも身を引き締めている美紀が、呻きを洩らします。康介は男心、美紀が洩らす呻きに触発されます。右腕を美紀の横腹にいれ、向こうの肩を抱きしめます。左手で美紀の裸体を愛撫です。透けたショーツは股布がありません。康介は、キッスして、唇を離して、再び、三度、キッスしてやりながら、左手をしだいに美紀の股間をまさぐりだします。
「はぁ、ふぅ、はぁあ、ふぅうう」
初めての美紀、なされるがまま、感じるがまま、からだを触られ撫ぜられ、乳房を揉まれ、股間をまさぐられています。白い肌、柔らかい肌が、火照ってきて、薄いピンクの色彩を帯びてくるようです。まだ夕方にもならない窓の外から、明るい光がはいってきて、ベッドのところも明るい自然光です。美紀の太ももがひろげられ、膝を立てさせたそのあいだへ、康介がうつむき、男と女が上下になります。美紀は仰向き寝たまま、康介に抱かれて、股間をまさぐられ、痛みを感じて、ぐっとこらえるのです。

-13-
柔らかいけれど張りがある21才美紀の裸体を抱くアラフォー独身の康介です。処女、未経験の美紀を、気持ちよく処女膜を破ってやらないと、あとが続かないと康介は、美紀を抱きながら思います。康介には初めてのことではなくて、これまでにも何人もの女子をものにしてきた経験です。美大でそれなりに良家の子女であるせいか、処女は半数をこえているようにも思えます。処女の女子を体験させると、あとは言いなりになることが多いのは、美大の准教授、新進の日本画家、大きな屋敷と立派なアトリエ、どうみても若い女子学生の憧れです。大江康介、優しい表情で、少し憂えた感じがするから、なにもなくても女子たちの噂にのぼります。
「ふぅうう、ううっ、はぁああ、ああっ、ううっ」
亀頭を挿し込んだところで、美紀が顔をしかめ、痛みをこらえている様子がわかって、康介は、亀頭を膣から抜きます。
「ああっ、先生、ごめんなさい、わたし、ごめんなさい」
美紀はいま、頭の中にはなにがイメージされているのか、康介にはわからないけれど、謝りの言葉を洩らすからには、自分の痛みに、康介が嫌がっているのかも知れません。康介は、全裸の美紀に覆いかぶさって左の腕を首の後から抱いたままです。右手は美紀の乳房のうえを這わせています。
「ああっ、先生、ああっ、いいです、がまんします、ううっ」
美紀が泣きそうな声で、小さな声を、康介の下から、仰向いたまま、洩らします。柔らかい美紀の裸体を愛撫して、チンポをオメコに挿し込んでいきます。ゆっくり、美紀のからだが破れていくのを、感じます。破られる美紀は、良家の育ちなのか、先ほどの大胆さは感じられなくて、おとなしい、可憐な女子学生です。
「ううっ、ああっ、いいね、美紀クン、ああ、ああ、いいんだね」
美紀のなかに勃起したチンポが挿入され、康介の根元までが埋まってしまったところです。美紀は、膝を立て、膝を広げ、太ももを開いていて、股間を男の康介に預けているのです。
「はぁあ、先生、ああ、ああ、そろっと、そろっとして、ああん」
奥まで埋まってしまって、美紀は快感だとは感じることもなく、からだにこもる痛みに、がまんしているのです。康介は、ゆっくりと抜いてやり、ゆっくりと挿し込んでやります。処女の其処は蕾だから、濡れてくるにはまだ早くて、それでも滑りがよくなってきて、康介は美紀のからだを、弄ってやります。射精は外出しだな、と康介は思いながら、美紀の裸体を、弄って、感じて、アラフォー独身男子の欲望を満たしていくのです。でも処女をいただくときは、射精にいたらないままにして、スペルマ温存しておいて、次に備えるのです。

-14-
大きなアトリエの隅におかれた仮眠用のベッドに、美大三年生の美紀が処女を失っているところです。正常位です。仰向いて腕をひろげている美紀。目をつむり、太ももをひろげられ、膝をたてられ、その間に画家でアラフォー独身の康介がかぶさっています。処女の美紀、初体験している可憐な美紀、仰向いて裸の上半身、その腋下から康介に腕を入れられ右手で頭を支えられ、左手は背中にまわされて、動かないように抱かれています。
「ううっ、はぁあっ、ふうう、うう、ううっ」
「いたいのか、美紀、痛いのか」
「いいえ、ああ、いたい、いいえ、だいじょうぶですぅ」
「おおお、美紀、おお、おおっ」
可憐で可愛いけれどキリッとしまった目つきの美大生美紀です。うっとり潤んだ表情に、ときたま痛みをこらえる顔になります。康介は、チンポのすべりが滑らかになってくる美紀の膣に、情欲が燃やされていきます。
「ああん、先生、あん、あん、はぁあ、ああっ」
康介の腕の中で、美紀が裸のからだを反り返らせてきます。康介は、抱いて柔らかい美紀をいっそう抱きしめてやります。チンポは美紀の膣に挿し込んだまま、静止してやります。美紀は、痛みをこらえながらも、康介の行為に従っていきます。ゆっくり、チンポを挿されて抜かれるその感覚、なにやら、うずうず、美紀は下腹部が疼いているのを感じてしまいます。
「ああっ、ああっ、先生、ああっ」
ベッドにひろげていた腕を、康介の背中にまわして抱きます。美紀、抱かれて、男の腕の中です。
「はぁあ、ううっ、うっ、うっ、先生」
「いいね、美紀、いいんだね、おおっ」
「ううっ、あっ、あっ、ああっ」
膣に男のチンポを初めて挿入されている女の美紀。男に抱かれて、男を抱き返して、ゆっくり、ゆっくり、痛みから遠のいき、まるで夢の中、雲の上へのぼっていくようにも感じるからだです。射精はないままに終わった康介です。美紀は仮眠用のベッドに置かれたままです。
「美紀クン、これでよかったんだね、そうなんだね」
康介の囁きに、美紀は涙ぐんでしまって、これでよかったとは思うけれど、そうですとは返せないのです。裸のからだを起こして足を合わせ流して座っているベッドのうえです。大きなガラスの窓のむこうは竹やぶです。まだ夕暮れまえの明るい光がアトリエに入っていて、美紀、光が眩いくらいです。ふっと気がつくと、モーツアルトのバイオリン曲が聴こえてきます。
「さあ、これを、着なさい、身につけなさい」
もうシャツを着てズボンを穿いた日本画家の康介が、美紀に見せたのは、透け透けの白いシュミーズです。肩から細い紐で垂らして着ると、ゆったり、裾は太ももの半分のところです。
「今日は、ここまで、あとは、食事まで、自由に、画集でも見ていたら、いいよ」
透けたランジェリー、白いシュミーズを身につけた美紀、アトリエから出ていく康介を見送り、ひとりになるのでした。

-15-
大江康介がいなくなって一人になった美紀。興味津々、大きなアトリエの大きな書棚に並ぶ豪華本があります。窓の方の大きなテーブルには、絵を描くための筆の束が、丸い陶器に挿し込まれています。絵の具の小さな便がいっぱい並べられています。群青とか、美紀には高価で手の届きようもない絵の具があるから、美紀はそれらを見回しています。2m四方の黒い鉄の枠が置かれていて、これは移動式です。
「本を、見て、いいんですよね、見ようっと」
美紀が身につけているのは薄い透けた白地のシュミーズだけです。裸婦モデルだからこれだけ、と美紀も納得。でも、グラビヤモデルが身につけるような布、柔らかい生地だから、シルクなのかも知れないな、美紀はそう思いながら、大きな赤い装丁の本を、そばのテーブルにおいてひろげます。無垢となずけられた画集。真ん中のあたりをひろげてみて、美紀、驚き、ああっ、心のなかで叫んでしまう図柄じゃないですか。
「なに、なによ、この絵、先生の絵、名前は、内海淡水、先生の絵だわ」
ドキドキす美紀。全裸の女の子が手を後ろで縛られている、大股開き、左右の太ももに縄が巻かれ、吊り上げらていて、陰毛から股のところが、ひろげられて克明に、描かれている絵です。
「ああっ、こんな絵、綺麗だけど、恥ずかしいポーズ、わたし、これ?」
そうこうしているうちに、ドアがひらいて、大江康介先生がアトリエへ戻ってこられたのです。美紀は不意を突かれた格好で、一瞬、どないしょ、と、困惑、狼狽です。でも康介には、その美紀の心理はわかりません。
「ああ、それね、美紀クン、驚いて、いるのかい、閉じなくていいんだよ」
透けたシュミーズ一枚の美紀の後ろ立った康介が、後ろ手縛りで開脚の吊られた全裸女子の絵を、覗き込みます。
「ああっ、いやん、先生、いたんですか、いやぁああん」
「どうしたの、こんな絵、見るの初めてじゃないだろ、今どき、見ることあるよね」
「ああん、先生、わたし、みたことないです、ほんと、です」
小さな声になっていく美紀。密かに見たことはあります。でも、股間のところはぼかしてありました。処女を失ってからまだ数時間も経っていません。温かいお部屋、アトリエだから、裸同然、薄い、透けた、インナー一枚だけです。ブラジャーもショーツもつけていなくて、透けた、透け透けシュミーズだけ。裾は太ももを少しだけ隠す丈なのです。
「それじゃ、いいね、デッサンするから、そこに立って、着たままでいい」
「ここですか、先生、ポーズは」
「突っ立ってるだけでいいよ、手はぶらんとしたへ下ろして、それでいい」
美紀、床につけた足首を少しひろげた格好で、立っています。康介が、その立ち姿の美紀を、3m離れた正面から、眺めています。壁面に張ってある大きな鏡を、背にしている美紀。美紀には大きな鏡は見えなくて、向こうの壁際に、皮張りの木馬が見え、美容室にあるような電動の背凭れ肘掛椅子が見えます。
「いいね、いいよ、少し、うごいちゃだめだよ、いいね、いいねぇ」
康介は手にしたA3サイズのスケッチブックに鉛筆を走らせながら、ことばを紡ぎます。裸にして、処女をいただいた女子が、目の前にいると思うと、美紀のからだが、特に性器のまわりがいっそう鮮明にイメージできます。
「それから、必要な時には、写真に撮るけど、いいよね」
「うん、はい、でも、ひとに、みせないで、くださね」
「そうだね、写真は秘密だ、でも絵は、公開だからね」
透けたシュミーズのなかに乳首がみえ、陰毛がわかります。康介は、目の前にいる美紀をものにしたから、あとはじわじわ、半年か一年、美紀が卒業するまで、たっぷり楽しませてもらおうと、思っているのです。美紀の他、何人か、女子を手なずけておかないと、いけないなぁ、とも思う大江康介。アラフォー独身の40才、美大の准教授、親からの血筋をひいた新進日本画家、内海淡水という別名を持つ美男子です。

-16-
透けたシュミーズを身につけて、立ったまま、手を横に下ろしたポーズの美紀です。スケッチブックに鉛筆を走らせている康介に見つめられて、美紀は恥ずかしい気持ちです。その一枚を描き終えた康介が、美紀に次のポーズを要求してきます。
「裾をもって、持ち上げてみてよ」
「ええっ、こうですか、こんなぐあいですか?」
透けたシュミーズの肩からは、細い紐です。布で乳房を隠しているけれど、乳首が透けてみえます。太腿の根元のすぐ下に裾があり、美紀は腰を隠したその裾を手に挟み、陰毛が露出するところまで引き上げます。
「そうだね、もう少しうえ、できれば乳房がみえるくらい」
「ええっ、そんなところまで、もちあげるんですか、ええっ」
美紀は言われるまま、両手に挟んだシュミーズの裾を持ちあげていきます。腰があらわれ、お腹があらわれ、乳房があらわれるところまで引き上げられて、美紀の手が止まります。
「そうだ、そのポーズだ、いいね、動いちゃだめだよ」
「ええ、先生、足は、閉じたままで、いいんですか」
かぼそい、少しハスキーな声で美紀が、3m離れた正面の絵描き康介の顔を見て、恥ずかしそうに聞きます。康介は無言で、美紀を足先から頭部まで、目線で眺め移して、いかにも眺めているという仕草を、美紀に見せます。
「ああっ、先生、足、閉じてたら、倒れそう、開いて、いいですか」
康介からほぼ裸体のからだを、見まわされている羞恥の気持ちです。美紀は足首を揃えたまま、手を持ちあげたままです。立っているのが辛い気持ちです。
「そうだね、足、ひらてもいいよ、好きなだけ」
美紀には、シュミーズの裾を乳房のうえにまで持ち上げさせられ、乳房を露出させたところで止めているから、そこから下の裸はわかりません。アラフォー独身の康介は、ほぼ全裸、21才、教えている美大の三年生、向井美紀の裸体を、たっぷりと鑑賞しているのです。鉛筆を画布に走らせては止めます。じっと、美紀を見つめます。美紀はといえば、頬を紅潮させてきて、目線を康介に向けてきては外します。
「いいねぇ、いいよぉ、美紀クン、素敵な、か、ら、だ、だね」
鉛筆を走らせている合間に、ことばを紡いでくる康介に、美紀は恥ずかしい気持ちになります。
「ああ、先生、そんなこと、おっしゃったら、だめですよぉ」
美紀は、からだの中に糸が動いていて、じわっと股のところに降りてくる感覚に見舞われます。先に処女を解体されたからだです。その相手が目の前に立っていて、美紀、立っているのが辛い、抱いてほしい、そんな気持ちがもたげてくるのです。
「いいねぇ、美紀クン、ぼくは、キミを、知ってしまったんだよ、そうだよね」
美紀は、立ったまま、ポーズをとったまま、絵描き康介の目線に晒され、言葉に晒され、しだいにむずむずしてしまうのです。











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