淫らの館

かおり


淫らの館(1)-1-
 1~8 2018.1.3~2018.1.12

 

嵯峨のアトリエ
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京都嵯峨には大覚寺があって大沢の池があります。その池を回るようにして山のほうへいくと、大江康介画伯の館があります。大江康介は日本画家、美術大学で日本画を教えている准教授40才です。教えている教室にいる向井美紀は三年生。絵の勉強のために京都へやってきて、この美大に入学してきたのが二年半まえのことでした。大江准教授のアトリエへ、モデルになる約束で美紀が訪問してきたのは、正月が過ぎた日の午後です。
「来てくれたね、ようこそ、さあ、おはいり」
玄関から通され、アトリエへ導かれた美紀。コートを脱ぎ、もう春の色合い、ピンク系のカーデーガンとフレアスカートを身につけた美紀です。
「先生、よろしくおねがいします」
美大三年生の向井美紀は、美大生らしく、なによりの魅力は、整ったからだ、整った顔立ち、素顔のままでも、テレビのアイドルとして、十分にやっていける美貌です。声が華奢だから、男のハートをきっちりとらえてしまう魅力をもった女子学生です。
「モデル、いいんだね、裸婦ありだよ、モデル料は支払うから、ね」
月に二回から四回、アトリエに泊まり込みで絵のモデルをし、月額で16万円を支払ってもらうという話です。美紀には、これで十分な生活費です。
「いいですよ、先生、わたし、住み込みでも、いいかなぁ、なんて思ったり」
「いやいや、だめだよ、それは、先生と生徒だから、それはいけない」
大江准教授は、そうは言っても、心の中では、そうなれば、いいな、それに、その深い関係になっても、いいかな、とか、誘惑に駆られてしまうところですが、ここは入り口、節度を守っていかないと、スキャンダルになる、それは避けないといけない、と自省します。大江康介、新進作家として売り出し中の日本画家です。父から譲りうける作風は、今どきではないけれど、日本画の技法そのもので、描いた絵はそれなりに、画商を通じて売れています。風景を描くこともあれば、艶やかな和服姿の女性を描き、密かに裸婦を手掛けていきたいところです。

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大江画伯のアトリエは、源氏物語が書かれたころには、高貴な御方の居住跡だというところにあります。和風の邸宅ですが、アトリエは離れの洋館です。ワンフロアー、広いフローリングの画室、それに小さなキッチンスペースにバストイレ、ここで生活もできます。というのも画家が絵を描くことに専念して籠りっぱなしになれるように造られているんです。
「はい、先生、二泊三日のスケジュールで、わたし、大丈夫です」
旅行気分で身の回り品を納めた大きめのバックを書棚の前に置いている美紀が、背凭れ椅子に座って、立ったままの大江先生を見ながらいいます。美紀から見える大江先生の後ろ、大きなガラス窓の向こうに見える風景は竹やぶです。
「うんうん、よろしく頼むよ、向井クン、いや美紀クン、いい絵が描けそうだよ」
若い女子、それも可憐で可愛いアイドルのような美貌の向井美紀を見る大江康介の心は、アラフォー独身男の欲情に満ちた気持ちです。春に向かっている気候とはいえ、嵯峨の奥にあるアトリエまわりはまだ寒い。美紀が淡いピンクのカーデーガンにフレアスカート姿、肌色のストッキングを穿いている、スリッパを履いていない足先。カーデーガンの内はフリルがついたブラウスで、少しだけブラジャーの紐が透けていて、それとわかります。
「ええ、わたし、勉強中ですから、モデルになれて、うれしいです」
けっこう大胆な女子なんだ、と大江康介は内心、思いながら、美紀を立たせて、窓ぎわへと歩かせ、自分の方に向かせます。美紀の後ろに竹やぶの風景です。美紀の前には、キャンバスを立てる先生の姿、それから壁面には画集が詰まった書棚があり、右端には半分カーテンが引かれているけれど、シングルベッドが見えます。左壁面には畳二枚分ほどの大きな鏡が張られてあります。鉄パイプだけで組まれた2m四方の立方体があります。なにやら皮張りの木馬が置かれてあり、美容室にあるような電動の背凭れ肘掛椅子が・・・・。美紀は、内心、何するんやろと思い、描かれる絵の背景になるアイテムかな、と想像してみます。
「ラフなスケッチからだね、そのまま、立ったままで、一枚、描くから」
「はい、立ったままで、手は、どうしましょ」
「うん、ぶらぶら、自由でいいよ、目線だけ、こっちにして」
美しい顔立ち、ショートカットでうりざね顔、小柄ですが若い女子そのもの、フローリングの床に着いたストキングだけの足が、大江康介の情欲をそそります。

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背丈160㎝もなくて、洋服を着ている美紀は細身のように見えるけれど、案外グラマラスな体位なのかもしれない。大江康介は、スケッチするという名目で、美紀をしげしげと、頭の先から足元まで、舐めるように、眺めまわします。見つめられる美紀は、なんとなく恥ずかしい気持ちになってきます。見られる、見つめられる、その目線を受けて、からだがふるえてくる感じがします。静謐の時間、嵯峨の名古曽にある大江康介のアトリエです。
「手を頭のうしろへ、そうして胸をはってごらん」
「はぁあ、先生、こうでしょうか、ああっ」
足を閉じたまま、頭を抱くだめに後ろへ、手をまわした美紀が、腕をひろげ胸をはるとき、よろめきます。よろめきはすぐさま持ち直しますが、足首をひろげてしまいます。大江康介が観察しています。よろける美紀を、観察しています。目の奥には、裸になった美紀の妄想がちらつきます。
「先生、ああん、ちょっと、しんどいです、ああっ」
小さなかすれるような声で、美紀がため息を交えて洩らします。アラフォー独身康介の心に、美紀の声がしみわたってきます。うずうず感が宿ってきます。美紀を自由にして良い、裸にしても良い、そういう約束で二泊三日、このアトリエへ来ているのだ、と思うと、絵を描く気持ちに優先して情欲が起こってくるのです。
「休憩しようか、自由にして、その椅子に座ったらいいよ」
籐で編まれた肘掛椅子に、美紀を座らせる康介。従う美紀。コスメをしない素顔のままのような美紀。整った顔立ちの美紀。雑誌の表紙にでも採用されそうな可憐さを持ちそえた向井美紀、美大三年生、21才です。
「はい、先生、ありがとうございます、座ります」
淡いピンクのフレアスカート、その後ろに手を添えて、籐の椅子に座る美紀。それだけで絵になる美紀。康介は、スマホで美紀の座り姿を写真に撮ります。暗黙の了解なにか、スマホが自分に向けられると右手でピースの格好、にこにこ顔になる美紀。康介は、ムラムラ、下半身が疼く感じで、そういえば溜まっているな、とつぶやいて、カシャっとシャッターを切ったのです。のちには美紀の全裸開脚の羞恥姿を撮影することになる前段です。

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籐で編まれた肘掛椅子は、絵のなかに描かれるアイテムとしては、現代的なイメージを醸させる椅子です。白塗りの籐編肘掛椅子は、21才の美大生向井美紀を、美しく際立たせます。
「座ってくれて、右足でいいよ、座部にあげて、手は肘掛に置く、でいいよ」
美紀にポーズをとらせる康介。右足をあげて、足裏を座部に置くと、康介の位置から見ると、膝が隠れる丈のフレアスカートをつけているけれど、ストッキングに包まれたふくらはぎの奥に、太ももが露わになります。
「先生、こうですか、こんなので、いいんでしょうか」
「そうそう、そのまま、そのままだよ」
「はい、このままで、いいんですね」
床につける左足の膝が露出します。座部の縁につけた右足は膝が隠されますが、太ももの奥までがちらちらと見えます。ストッキングのベールが被った淡いピンクのインナー、ショーツです。
「いいね、美紀クン、ちょっと挑発的なポーズだけど、写真に撮って、スケッチするから」
3mほど離れた正面から、康介に見つめられている籐製肘掛椅子に座った美紀には、それがどうして挑発的なのか、わかりません。
「そうだね、ストッキング、絵にするには、邪魔だよね、素足がいいよね」
「そうかも、ですね、先生、脱いだらいいですか、脱ぎます」
立ち上がった美紀が、大きな鏡を避けてその横に後ろ向き、スカートの中に手を入れ、ストッキングを抜いてしまいます。後ろから見る美紀の姿が、なまめかしくも思えて、ストッキングを尻から抜いて、降ろして、丸めて、隅に置いて、椅子に戻ってきます。
「先生、ポーズ、さっきの続きで、いいですか」
「そうだ、右足、あげて、左足は床、手は肘掛に置く、だよ」
スマホで写真を撮られて、スケッチされていく美紀。じっとポーズをとっているは、けっこう辛いことです。でも美紀、それは仕事だと割り切って、見つめられ、線描画のスケッチをされる五分ほどの時が過ぎるのを待ちます。会話はほとんど交わさなくて、指示されるだけです。一枚目のスケッチが終わって、次のポーズだと言われる美紀。右足、左足、ともに足裏を座部に置くスタイルです。足首をひろげて、膝を閉じる。スカートの裾で膝が隠されます。
「ああん、先生、ちょっと窮屈、お膝を合わせて足首開くなんて、窮屈」
「そうか、写真撮ったら、次のポーズにしよう」
「お膝をひらいて、足裏あわせる、そのほうが、楽だし、わたし、それ、好きです」
足をひし形にするポーズ。美紀の方からの提案で、アラフォー独身の康介にとっては願ってもない体位です。
「うん、うん、いいね、それが楽なら、それ、いいね」
二人だけのアトリエです。籐で編まれた白い肘掛椅子に、下半身ひし形開脚姿になった美紀です。ショーツは穿いたまま、フレアスカートはつけたままですが、裾は太ももの中ほどにまで引き上げたポーズです。見る康介、絵描きとして冷静にならなければいけないのに、私情がムラムラ起こってきます。淡いピンクのショーツ、その股布が渡った部分に、男の目は注がれています。
「写真、撮っても、いいかね、美紀クン」
「ええ、いいですけど、発表しないでね、恥ずかしいから」
挑発してくる風にも思える21才美貌の美紀に、康介の心は揺らぎます。スマホで写真を撮って、表向きだけのスケッチです。

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アトリエの空調は、室温26度に設定されているから寒くはない、むしろ温かすぎます。カーデガンを羽織りブラウスをつけているのが暑いくらいで、もっと薄着になってもいいアトリエです。裸になれば室温もあがって、アトリエの真ん中は床暖房もはいっているので、むくむくです。
「スカートを、めくりあげて、太もも、丸出しポーズ、してみてよ」
籐の肘掛椅子に座って、足をひし形にして、手を膝においた格好の美紀に、康介画伯がポーズの注文を出します。ちょっと、いきなり、露出度が強すぎるかな、と思いながら、前へ進めるために、美貌の美紀への注文です。
「ええっ?、ああ、ちょっと、えろい、ですね、先生」
「そうだね、そうかも、でも、もうひとりのぼくの画風、美紀クン、知ってるんだろ」
「ええっ?、内海淡水ってひとの、えっちな絵のことですか」
美紀は、恥ずかし気に、尋ねるように聞いてきます。美大で准教授の大江康介の別バージョン、内海淡水のエロス画のことを、美紀はそれとなく知っていたのです。
「知ってるんだろ」
「はいっ、知ってる、ですけど、ほんとうに先生のことですか」
美紀は友だちのうわさで、それが大江康介先生が描かれる絵らしいと、知っていたところです。
「美紀クン、いいんだろ、モデルになっても、裸婦、オーケーだよね」
白い籐の肘掛椅子に、あぐら座りする以上に足をひし形にした格好で、フレアスカートをまくりあげ、太もも全部を露出して、ショーツを穿いた腰まわりも露出するはめになったのです。
「ああん、先生、暑いから、うえも脱ぎたい、脱いでもいいですか」
康介がびっくりしてしまうほど、美紀は大胆です。足をひし形にしたまま、カーデガンを脱ぎ、ブラウスのボタンを外して、前を開いてしまいます。大胆な美紀の行為に、むしろ康介の方がタジタジになってしまいます。
「裸婦、するんでしょ、先生、わたし、オッケーよ」
インナーに、ブラをつけショーツを穿いているといっても、美大三年生、麗しい21才の女子です。アイドルになってもおかしくない顔立ちとスタイル、それに肌は白い餅肌です。嵯峨は名古曽のアトリエで、大江康介のまえに現れた向井美紀。学校でみる美紀とは一味違う美女、むっりりした肉付き、白い肌、康介はまるで夢の中にいるような錯覚にとらわれていきます。
「ああ、先生、そんなに見つめちゃ、恥ずかしいですよぉ、でも、お写真オッケーよ」
スケッチのまえに、写真に撮ることを許される康介です。ほんとうはスケッチするよりも写真に撮って、絵はそれを見て描けばいい。むしろ、女の美紀を、女として扱いたい、むらむら、情欲が立ち昇ってくるアラフォー独身、美大の准教授です。

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こころもちピンクのブラとショーツで大事な処は隠れている美紀のからだですが、スカートをめくり、ブラウスのボタンをはずしてひろげた半裸姿で、アラフォー独身の画家康介には、ムラムラと情欲がわいてきます。
「ううん、先生、わたし、モデル、合格かしら」
白い籐で編まれた肘掛椅子は少し大きめだから、半裸の美紀が足をひし形にして座っていても十分な座部です。
「そうだね、美紀クン、モデル、合格だよ、むっちり、きれいな、からだ、だね」
「あっ、先生、そのことば、せくはらよ、だめよ」
「ええっ、褒めてるのに、いけないの?」
「そうね、おんなのこは敏感なのよ、おことばに」
美術大学三年生の美紀は、まるで准教授を挑発するかのように、大胆に足をひらいています。透けたインナー、ブラとショーツだから、陰毛がわかり、乳首がわかります。薄いベールをかぶった女子学生の腰と胸に、男の康介准教授は淫らな気持ちを押さえなければいけない。
「とっちゃっても、いいんですよ、先生、お写真、撮っても、でも、発表しないでね」
ブラのホックをはずしてしまって、乳房を露出させてしまう美紀。まるでアラフォー男を挑発するような目つきで、ちょっと恥ずかし気、さすがに目線は下に向けられたままです。
「そうなの、写真、撮ってもいいんだね、もちろん絵を描かせてもらうけど」
「ええ、淡水先生、その、絵の、モデルに、わたし、なってあげても、いいよ」
淡水という名前で描かれる日本画は、女の裸体、着衣をとわず、性器が克明に描かれるの絵です。写真ではぼかさないといけない処を、浮世絵春画のように克明に描かれるです。少し透けたショーツだけになってしまう美紀。裸婦モデルの約束だから、裸になることは、美紀にとってはアルバイトお範疇です。大江康介准教授と、おんなとおとこの関係になることも、美紀としては、許してもいいなと内心思ってみたり、です。
「美紀クン、いいねぇ、すばらしい、素晴らしいよ、美しい」
白い籐製の肘掛椅子にあぐら座りする美紀を目の前にして、若手のホープ大江画伯の心が揺らぎます。まだショーツを穿いたままのあぐら座りの美紀ですが、ブラウスも、ブラジャーも、スカートも脱いでしまった美大の女子学生です。透けたショーツの股間に、康介の目線が注がれてしまいます。

-7-
淡いピンクの透けたショーツを穿いただけの美紀が、画家入江康介の3m離れた前で、開脚立膝すがたで白い籐で編まれた肘掛椅子に座っています。裸婦モデルを頼んであるから、美紀にとっては、アルバイト感覚です。でも、ショーツを穿いているとはいっても透けたショーツ、見られている視線を感じると、もずもずしてきて、足を閉じたくなります。ひろげた胸に手を当てたくなります。
「ああん、先生、スケッチ、できましたか、まだ、ですか」
「ああ、もうちょっとだ、もうちょっとだよ」
スケッチブックに鉛筆を走らせているのが見える美紀。じっとしているのが辛いです。手は肘掛に肘から伸ばして置いている格好です。透けたショーツの股の部分がひろがっていて、そこがじくじくしてくる美紀。康介が、じっと見ている目線の注がれている処を、美紀には感じるんです。
「うん、うん、おわったよ、それじゃ、つぎのポーズへいくか」
スケッチブックを机に置いて、康介が美紀に近づきます。裸婦とはいえ透けたショーツを穿いた美大三年生21才の美女向井美紀です。ラフな服を着ている康介に近寄られてきて、狙われた子猫のように、身をすぼめたくなります。
「あっ、ああっ、先生、どうするんですか、ああん」
「つぎのポーズは、この紐で少し、からだをひろげたままに」
康介は、女もの赤系浴衣の兵児帯を、床に置かれている皮製アンティークなトランクから取り出され、美紀に見せてくるのです。美紀にはイメージできます。淡水画伯の美人画に、髪を結った裸の女が、兵児帯で括られている図があった、それです。
「うんうん、いいんだろ、いいね、こうして」
「ああっ、先生、あん、ああん」
美紀が座った肘掛椅子の前に立った画家康介が、首後ろに赤系兵児帯をまわし、肩から前へ降ろして、膝のぅ内側から外側へ、その兵児帯が脇腹から背中へ戻され、首後ろに渡った兵児帯に括られてしまったのです。
「いいんだろ、美紀クン、麗しいね、カワイイね、いいんだね、ぼくのモデルさん」
「ああん、いやぁああん、先生、えっちですぅ、あああん」
「ほうら、こうして、手を背中で括っておいて、ほうら、いい格好だよ」
余った兵児帯で美紀の手首が背中で交差させられ括られ、タスキ掛けした格好です。足裏を椅子の座部に着けている美紀は、背中を丸めて俯く格好になっています。康介は、一気にここまで、ショーツだけ穿かせた裸体で、開脚拘束して、M姿にしてしまって、美紀が抵抗しなかったことに、安堵して、美紀に顔をあげさせます。
「いいんだね、こんなモデルで、いいんだよね、美紀クン」
「ああん、えっちな先生、わたし、わたし、好きでも嫌いでもないよ、ああん」
「ふふふふん、美紀クン、写真に撮ってもいいよね、撮っちゃうよ」
アラフォー独身の画家、大江康介は美紀のまえに膝まづき、スマホを構えて、美紀の開脚Mすがたにシャッターを切ります。

-8-
日本画家で美術大学で准教授の入江康介のアトリエは、嵯峨大覚寺の裏、名古曽の屋敷の一角にあります。和風の屋敷の奥庭につくられた洋風建築で、そこにこもって生活もできるアトリエです。美大三年生の向井美紀はアルバイトでモデルとしてやってきて、いま、入江康介の前に、絵を描かれているところです。
「うん、うん、いいね、とってもいいポーズだ」
「はい、先生、ああん、そんなに、見つめられちゃうと、わたし、恥ぃです」
「でも、まあ、モデルをたっぷり見ないと、描けないんだから、仕方ないよ」
ショーツは穿いているけど透け透け。そのほかには何もつけていない裸婦。少し大きめ白い籐で編まれた肘掛椅子に赤い兵児帯で膝ごとタスキ掛けされた格好で、手首を背中で括られ、正面を向いたポーズです。康介から見て美紀の裸体、乳房が正面、ショーツを穿いているとはいえ陰毛が透けて見えていて、そこへ目線がいくのです。康介が近寄ってきて、美紀のからだを触りだします。美紀は抵抗できないように括られています。兵児帯一本ですが、きっちり開脚させられてM姿、手は後ろで括られているのです。
「ああん、先生、つめたい、手、冷たい」
「しんぼうしなさい、そうだよ、ポーズをつけるんだから、ね」
肘掛椅子の座部にお尻の芯を置いている美紀のからだを、前へずらして、背凭れに背中がきっちりと着きます。お尻が前へせりだしてきます。足首が持ちあがって、膝が開いたままで脇腹の横です。
「ああん、先生、こんなかっこう、だめよ、だめです、だめですよぉ」
頭の後ろが背凭れについて、顔が正面を向いてしまって、股をせりださせた格好です。透けたショーツを穿いただけの美紀。ぱっくりと股がひろげられてしまって、恥ずかしい処が薄いベール一枚で隠れているだけです。
「いいねぇ、美紀クン、このポーズも写真に撮っていいよね」
「ええっ、写真に撮ったら、恥ずかしいです、こんなのぉ」
それはそうです、美紀はまだ美大の三年生、温泉に入っても前を隠してしまうのに、アトリエでは丸出しになっているのですから。
「あああん、さわったらぁ、あかんですぅ、先生、だめですぅ」
「なになに、美紀クンの表情が硬いから、ほぐさなくちゃいけないでしょ」
「ああん、先生、お乳さわったら、あかん、あかん」
京都になじんできて、ことばも京都弁が混じるようになった美紀です。白い肌、ぷっくらの乳房、すんなりした女体ですが、お尻を突き出すとそれは丸くて大きくみえます。康介の魂胆は、その真ん中、美紀の陰部をさらけださせるところにあります。
「ああん、先生、だめ、そこ、ああん、あかん、あかん」
康介が透けたショーツの股布をつまみだしたから、美紀が驚いて声をあげてしまいます。康介が股布をつまみます。つまんでよこへひろげます。すると美紀の地肌があらわれます。女子の股間の地肌は、男子にとっては特別仕立ての部位です。肌の白さとあめ色の縦割れ唇、陰唇。その上のよじれた黒い毛のかたまり陰毛。生唾をごっくん呑み込む康介。アラフォー独身男の画家大江康介のこころが情欲に揺れ出します。










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